大阪高等裁判所 平成3年(行コ)4号 判決 1991年5月29日
兵庫県加古川市尾上町養田三七三番地
控訴人
大﨑大輔
右控訴代理人弁護士
麻田光広
兵庫県加古川市加古川町木村五-二
被控訴人
加古川税務署長 片山金治
右指定代理人検事
石田裕一
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は、控訴人の負担とする。
事実及び理由
第一当事者の求めた裁判
一 控訴人
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が、昭和六二年五月一八日付けで控訴人に対してした相続税の更正処分を取り消す。
3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文に同じ
第二請求原因
原判決の「第二 請求原因」(原判決一枚目裏末行から四枚目裏一〇行目まで)のとおりであるから、これを引用する。但し、次のとおり訂正する。
1 原判決二枚目表一行目の「子」を「妻子」に訂正する。
2 同二枚目表八行目の「更正決定」を「更正」に訂正する。
3 同二枚目裏四行目の「更正決定」を「更正通知書」に、同四行目から五行目にかけての「行われていず」を「行われておらず」にそれぞれ訂正する。
4 同四枚目表八行目の「決定」を削除し、同裏四行目の「更正決定」を「本件更正」に訂正する。
第三当裁判所の判断
一 当裁判所の判断は、原判決の「第三 当裁判所の判断」(原判決四枚目裏一一行目から同六枚目表一一行目まで)と同一であるから、これを引用する。但し、次の付加をする。
1 原判決五枚目表三行目の「欠くというべきである。」に続けて「(最判昭和五六年四月二四日 民集三五巻三号六七二頁参照)。すなわち、控訴人は、本件更正によって、有利な効果をもたらす処分を受けたのであるから、本件更正の取り消しを求めて訴求する利益はないというほかはない。そうして、控訴人にとって本件更正が有利か不利かの判断基準は、申告によって確定した納付すべき税額が増減したかどうかであって、税額算出過程の個々の項目ごとの金額の増減ではない。」を加える。
2 原判決五枚目裏二行目の「(国税通則法二四条)、」の次に「したがって、右金額が増加したことをもって、本件訴えの利益を認めるわけにはいかない。」を加える。
二 そうすると、本件訴えは、不適法であるから、これを却下した原判決は相当であって、本件控訴は理由がない。
そこで、本件控訴を棄却することとし、民訴法八九条に従い主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 古嵜慶長 裁判官 熊谷絢子 裁判官 瀬木比呂志)